人に歴史あり

我々が挑戦しているベートーヴェンの交響曲7番は作品番号92、コリオランは作品番号62。
最近私は自分の勉強不足を悔やんでいるのですが、やっぱり作品の理解には、それまでの作品を勉強し尽くす事が必要なんだと思っています。少なくとも交響曲7番を演奏し、理解するのであれば、1番から7番までの交響曲は研究しなくてはいけないでしょうし、本来なら、それまでの91曲全部知らないと作品92は理解できないんだと思います。
作曲家が刻んできた歴史はその作品です。1番目の曲から順番に作曲家として熟練し、人間として経験を積み、年齢を重ね、そして作品は徐々に厚みを増していくのだと思います。
92番目の曲は当然1番目から91番目の曲の何らかの経験が反映されているはずなのです。であるならば、そのすべてを知る事は絶対条件なのだと私は思います。
そして、ベートーヴェンの曲を理解する上では、その先達の作品も下地にはあるわけで、バッハや、ベートーヴェンの師匠であったハイドンや、モーツアルトの作品を全部知った上でのベートーヴェンなんです。
とはいえね、そんだけCDを買うのもしんどいし、曲の理解という意味ではスコアも必要だし、お金どんだけあっても足りないよなぁ。
でも、いきなり完璧を目指すのではなく、少しずつ出来るところからやっていきましょう。あ、私か(苦笑)。

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元々トロンボーン吹きですが、棒振りです。好きな作曲家はベートーヴェン、シューベルト、ブラームス、ブルックナーです。 ビールと餃子とカレーが大好きです。

敬愛なるベートーヴェン

「敬愛なるベートーヴェン」を見てきました。原題はCopying Beethoven、ベートーヴェンの写譜士という意味だと思いますが、ベートーヴェンになりたかった人という深読みも出来るかと思います。
映画の出来としては私が評価する120分以内というポイントをしっかり押さえて(因みに私の定義では2時間以上の映画は「下品」です)、台詞も人物描写もよいなかなかの佳作だと思います。
ただ、私は今日ほど自分が楽譜を読めることに感謝したことはなかったです。実際は私は楽譜を読んでも音が鳴らないので楽譜が読めることにはならないのですが、楽譜を読む勉強をしたことにより、映画で見なくともベートーヴェンの人となりについては深く理解しているつもりです。
どの程度深くか?というのは他人との比較になるのであまり意味がないと思いますが、少なくとも一般の(楽譜が読めないという意味で)人よりはという点では間違いないと思っています。
何度も話しをしていますが、音楽家であるが故に、歴史上の人物であるが故に美化されがちですが、どんな歴史上の人物でも「人間」であることに替わりはありません。欠点もありますし、複雑さをもっているし、矛盾した正確や行動もいっぱいあるでしょうし、闇の部分や、コンプレックスもいっぱいあったでしょう。
この映画はとてもチャーミングにベートーヴェンを描写していますが、実際の彼はあんなもんではなかったでしょう。その苛烈さ、激しさは彼の楽譜によく現れています。
コリオランの最初!不気味な和音を念を押すように鳴らして、不気味な先行きを表しました。このような手法はバッハにもモーツアルトにもなかったでしょう。同様に交響曲7番の譜面も、彼の執拗な、細かいことにこだわる性格がよく現れているし、しっかり形式を守る彼の意志の強さや、4つの楽章で違ったリズムをモチーフにする技術を見せつける傲慢さも見て取れます。
映画なんか見なくても、私には以前やったシュトラウス、シューベルト、メンデルスゾーン、ショスタコーヴィッチの性格がある程度分かります(勿論数曲で全部分かるなどというつもりはありません)。その比較だけでも充分にドラマになると私は思っています。
因みに、モーツアルトは難しいです。楽譜を読んで何かが分かるというところまで私の読譜力が達していないのが残念です。
是非この映画を見て、また彼の楽譜と向き合って見てください。新しい発見があるかも知れませんよ。

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ルートヴィッヒ

今週の練習から交響曲7番本気で練習します。今まで見たいに曲を流して終わりという練習ではありません。細かいところに息を吹き込み、光を当て、より立体的に、よりカラフルに7番を分解掃除していきます。
その第一歩は、譜面の読み込み、なんですが、その前にまずはベートーヴェンの人となりを研究してみましょう。
ベートーヴェンというのはどういう人ですか?これから度々質問することになると思います。その人が書く曲ですから、その人の人となりが反映されていて当然なんです。ですから曲の解釈に行き詰まったら、ベートーヴェンがどういう人なのか考えることにしましょう。
小学校や中学校の頃に夏休みの宿題で年表とか作りませんでした?
皆さんももし時間があれば、年表作ってみましょう。項目はなんでもいいんです。ベートーヴェンの生まれた年と死んだ年をマークして、7年が書かれた1812年、初演された1813年をマーク。
そこに自分で好きなように項目を埋めていきましょう。日本なら江戸時代。アメリカならゴールドラッシュの少し前。言うまでもなくヨーロッパはナポレオンの時代。この曲が書かれた頃を考え、そしてその中で生きるベートーヴェンのことを考えてみましょう。
楽器を持つだけが練習ではありませんよ。

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音楽は人間がするものです

どうも私の話しは固くってねぇ。実際の私はこんな小難しい人間じゃありません。どっちかというとおちゃらけたふざけた人間です。
ふざけた人間というと大抵の人はすぐにモーツアルトを思い浮かべると思います。「アマデウス」という映画でもちょっと分裂症気味の天才として扱われていましたが、他の音楽家ってどうなんでしょう?
N響アワーに出演している作曲家の池辺晋一郎さんのように駄洒落ばっかり言っている人間もいるでしょうし、この前亡くなった岩城宏之さんも大変に話しの面白い方でした。
翻ってでは昔の大作曲家はどうなんでしょう?ベートーヴェンは深刻な顔の肖像画しかないし、彼のデスマスクや数々のエピソード、緻密な曲のせいで、難しい人間のような気がしますが、彼だって笑うこともあれば、下らないことをいうこともあったでしょう。
チャイコフスキーやブラームスの曲はものすごく、そらあ吃驚するほどものすごく渋くって、まぁ根が暗いわけです。数々のエピソードから彼らが煮え切らない、優柔不断な人間だということが伝わっていますが、その彼らだって恐らく酒を飲んで騒いだり、時には下ネタをいったりもしたでしょう。
偉大な作曲家だから人間的にも完璧で、優れた人間かというとそれは幻想でしょう。
かくいう私だって、まったく欠点だらけの人間です。
アマオケは教育団体ではないですから、私を含め誰の性格を矯正したり、指導したりはしません。しかし音楽を通してよりよい人間にはなりたいと思っています。
音楽は人間がするものです。だから私は人間性を大切にします。人間的に尊敬出来ない人からいい音楽は出てこないですから(アマチュアの場合)。

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三題噺

昨日は396PV。凄いねぇ。でも応募は1件のみ。…なんだかなぁ。もちろん既存の団員に繰り返し見ていただいて問題ないのですが、とにかく絶賛団員募集中!です。
さて、今日のお題。音楽の世界で「三大」といえば一番有名なのが「ドイツ三大B」でこれはバッハ、ベートーヴェン、ブラームスで、もともとヴァーグナーに嫁さんをとられた腹いせでブラームス派に寝返ったフォン・ビューローが言い出したことだとされています。
日本的には恐らく西洋三大音楽家といえば、バッハ、モーツアルト、ベートーヴェンで異論はないでしょう。この3人の中で、私が特別に意識するのはやっぱりベートーヴェンです。
私がこれから取り組もうと思っている「管弦楽」という分野で明確な足跡を残したのはベートーヴェンだからです。先月亡くなったN響の正指揮者岩城宏之さんも指揮者としてベートーヴェンで死ぬなら本望だ、といっていたそうですし、私が指揮者を評価する時に「ベートーヴェンをちゃんと振れるか?」というのは変わらない基準です。
例えば、小澤征爾は大変優れた(私が言うのもおこがましいですが)指揮者ですが、私は彼のベートーヴェンで感動したことはないので、評価は低いです。私の大好きな指揮者にヴォルフガング・サヴァリッシュというか違いますが、彼は一般には知名度は低いですが、恐らく現代最高の指揮者です。なにしろ私は彼の7番で泣いたことがありますから(因みに彼はブラームスも得意としています)。
バッハはカンタータやオラトリオに優れた傑作を残しています。恐らく彼の最高傑作はマタイ受難曲でしょう。これは管弦楽曲ではありません。モーツアルトは多大な交響曲を残していますが、彼の本筋は交響曲ではなく、オペラであり、ピアノ曲や数多い器楽曲だと思います。
翻ってベートーヴェンも勿論ピアノ曲、弦楽四重奏曲に大きな功績を残していますが、彼の一番の仕事はやはり交響曲でしょう。その意味でオケで指揮を振る私にとって最大で最強の敵はベートーヴェンです。
うちのオケでは勿論バッハもモーツアルトもやります。むしろそこを基本に音楽に取り組んでいきますが、最終的な目標はベートーヴェンです。ヴァーグナーやブルックナー、マーラー、ショスタコーヴィッチなど敵はいっぱいいますが、うちのオケは一生かかってベートーヴェンと格闘していきましょう。
それがオーケストラの役割だと私は思っています。

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アマデウスちゃん

今日は通勤、帰宅時にモーツアルトをいっぱい聴きました。交響曲は33番「パリ」、35番「ハフナー」、36番「リンツ」。どの曲も勿論うちのオケでは挑戦します。36番が手強そうですが、じっくり取り組んでいきましょう。
私は基本的に交響曲が好きなのですが、でもモーツアルトといえばまず、オペラでしょう。その意味では「フィガロの結婚序曲」、「ドン・ジョバンニ序曲」、「コジ・ファン・トゥッテ序曲」なども是非挑戦したいところですが、私は「皇帝ティートの慈悲序曲」が好きだったりします。
楽譜見つけたら練習しましょうね。
今年はモーツアルトの生誕250年で、盛り上がっていますが、残念ながらうちの楽団は今年演奏会を開くことは難しいと思います。次のイベントとしては35年後に没後250年が来ますが、どうでしょう?
私は今年39歳なので、軽く74歳です。この前亡くなったN響正指揮者の岩城宏之さんが73歳で亡くなったわけですが、私はおいてもらえるのなら指揮者としてやっているんでしょうか…(笑)。
思えば短い生涯だったんですね。
私は一昨年にウィーンとプラハに行ってモーツアルトの墓(といわれているもの)参りに行き、彼の歩いた街を同じように歩いてみました。プラハではドン・ジョバンニと皇帝ティートの慈悲の初演が行われたエステート劇場の前に立っても見ました。
特に私にとって特別な作曲家というわけではないのですし、指揮者にとってはベートーヴェンを攻略することが生涯の目標だったりします。しかしモーツアルトの音楽は音楽家にとっては常に挑戦すべき高き山なのだと思います。
みなさんにとってモーツアルトはどんな存在ですか?

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