アウフタクト

3楽章読み終わりました。この楽章も手強いですねぇ。まずはテンポが速いので、楽譜を見ている暇がない。多分本番振り間違うのはこの楽章でしょうね(笑)。え?笑い事じゃない。仰るとおりで(謝)。
ちょっと真面目な話しをしますが、7月の末に東京芸大の公開講座を受けまして、小林研一郎先生の指導を少しだけ受けてきました。先生は「アウフタクトの意味を考えなさい、と大学の時に先生にいわれ、それが分かったのが30歳を過ぎてからでした」と仰っていました。
それ以来私もずっと「アウフタクト」について考えてきましたが、今朝ちょっとしたヒントが閃いたんです。それが先生の仰る「アウフタクトの意味」なのかどうかは分かりませんが、私的には大きく一歩前に進んだ気がします。
結局、指揮というのはテンポを示すだけで、テンポが出たらあとは曲想を伝えるだけなんです。凄く簡略化して言葉で説明するので十分ではないかも知れませんが、曲想を伝えるのは二義的なことで、要するに常にいわれているように「指揮で一番難しいのは曲を始めて、止めることだ」という格言が表していることがすべてなのです。
曲を始める為にはその前のテンポを示す→つまりそれが「アウフタクト」なのです。
指揮者が曲の中で常にアウフタクトを示し続ける、それだけしていれば指揮は役割を全う出来るんです。
こう考えると、「伴奏を振っている人が多くてガッカリします」という小林先生の言葉も合点がいきますし、先生やシャルル・デュトワがよく言っているように「こうした方が奏者が演奏しやすい」というのもよく分かる気がします。
テンポをだすには常に拍頭を示すのではなく、アウフタクトを示す。このことがアマチュアなのに分かった私は天才かも知れません(自画自賛)。
フレーズをどう振ったらいいか、ということについてもこのことが解決してくれたような気がします。
これもコバケンの含蓄に富んだ示唆と、ベートーヴェンの譜面が私にもたらした化学反応でしょう。すごく嬉しい気分です!

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About NO Masaharu

元々トロンボーン吹きですが、棒振りです。好きな作曲家はベートーヴェン、シューベルト、ブラームス、ブルックナーです。 ビールと餃子とカレーが大好きです。