頭を使った練習

私はご存じの通り27歳からトロンボーンを始めました。35歳で初めてオーケストラに入団し、指揮を始めたのも35歳からです。大人になって楽器を始めた人を「レイト・スターター」といったりしますが、実は私はそのこと自体はなんのハンディでもないと思っています。
上記のようなキャリアの私が楽団を始めて、しかも指揮をして音楽を指導する立場であるということに異論もあるところだとは思います。
でも、しつこいようですが私はそれはハンディではないと思っています。
私は大人になってから楽器を始めたので、頭を使って練習することに長けています。ちょっと語弊のある言い方になりますが、「小さい頃から楽器をやっている人の中には頭も使わずに滅茶苦茶な練習を根性でやっている人」が見受けられます。
時間のある人にとってはそれは無駄ではないと思いますが、社会人にとっては時間はあまりないし、効率の良い練習をしなくてはなりません。時には楽器を持たない楽器の練習すら考えないといけません。
私はこの歳の割にはたくさん勉強していると思います。実践はなかなか辛いですが、楽団の練習の為には、初心者が出来ないところが分かり、その気持ちも理解出来ますので、うちのような楽団の指導者にはうってつけだと思います。
そして、練習の短時間化のアイデアも一杯持っています。
レイト・スターターのみなさんへ
楽器を持ったらとにかく音階の練習をしましょう。曲の練習は最後の5分で充分です。フォルテで何回も何回も音階を短調も長調も満遍なくやりましょう。
ブレスは絶対に意識しましょう。楽譜にブレスの位置を書くことを忘れないでください。フレーズの切れ目で必ず息を吸います。出来ない人は楽器をおいて譜面を読みながら息を吸ってみましょう。
リズムの難しいところは言葉に置き換えてみましょう。3連符がトマト5連符が新聞紙というのは以前紹介しましたが、休符が入るところも言葉を当てはめると意外に出来るものです。
弦楽器奏者へ
出来ないところは大抵「移弦する」ところです。弓をおいて左手だけで練習することは多いと思いますが、左手をおいて(ネックに添えて)弓だけで練習してみましょう。
管楽器奏者へ
息を吸う時に肩が上がらないようにしてください。息は上に吸うのではなく下に吸うんです。吸った息は「暖かくして」吐いてください。
それとアマオケの管楽器奏者は大抵上手なのですが、大抵楽をしようとして音符を短く吹きがちです。メトロノームをかけて練習しましょう。
まぁ、これ以外にもいっぱいあるのですが、こういうことは追々合奏の中でやっていきます。みなさん外国語の翻訳は得意ですか?翻訳を素早くやるには単語や熟語の数が必要ですが、それ以上にセンスが必要なんです。
音楽も同様です。短時間でセンスを見つける練習をしていきましょう。

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About NO Masaharu

元々トロンボーン吹きですが、棒振りです。好きな作曲家はベートーヴェン、シューベルト、ブラームス、ブルックナーです。 ビールと餃子とカレーが大好きです。