左手のための

「左手のための」と言えばラヴェルの「左手のためのピアノ協奏曲」なんてのが有名ですが、まぁ、大抵の弦楽器奏者にとって「テクニックの左手、表現の右手」という事で、誰もが左手の練習に熱心に取り組んでいるでしょう。
でも、実際は右手の練習が悲しくなるほど足りていません。左手に気を使う事の10分の1でも右手に気を配ってくれると演奏のグレードが1段階も2段階も上がるのにな、と思います。
私が5年前に指揮者になった時に右手の練習と同時に「左手の」練習を開始しました。やった事のない人には分からないかもしれませんが、今これを読みながら挑戦してみればすぐに分かります。右手と左手をバラバラに動かすのは難しい、という事に(笑)。
右手で4拍子の図形を書きながら、左手でスコアをめくると、右手の図形は崩れ左手と一緒に空中で何かをめくっていたのが5年前の私です。出来る人にはどうってことがない、こんな事もやり馴れない人にとっては難関です。
よく指揮者が左手で「もっともっと」と奏者をあおる動作をします。手のひらを上に向けて煽るようにします。これを右手の図形を崩さずにやるのは、結構難しいと思います(出来る楽団員はすぐに私に報告のメールをするように)。
私は指揮者になってから、普段の歯磨き、鍵の開け閉め、スプーンを使うのは左手でやるようにしました。箸も気が向いたら左を使ったりもしたのですが、時間がかかるので、食事は右に戻しました。
歯磨きと鍵は5年経った今でも左手を使っています。
5月の演奏会のDVDの私はまだまだ左手が有効に使えていません。これからもっともっと左手の練習もしないとなと思いました。
因に指揮者の場合、弦楽器奏者とは逆で技術の右手、表現の左手である事は一応念のため書いておきます。

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About NO Masaharu

元々トロンボーン吹きですが、棒振りです。好きな作曲家はベートーヴェン、シューベルト、ブラームス、ブルックナーです。 ビールと餃子とカレーが大好きです。