楽譜の書き込み

副指揮者候補が楽団の練習をしている時に、私は一番後ろから楽団員を観察することにしています。
指揮者が言ったことをどれくらい楽譜に書き込んでいるか、を見ているんです。
まぁ、私が普段思っている通り、ある程度楽器が出来る人は、実にさらさらと書き込んでいますが、合奏できねぇなぁ、と思わず苦笑しちゃうような人は、黙って聞いているんだか、いないんだか(やっぱり苦笑)。
楽譜の書き方が分からない、という話しをよく聞きますが、それはそれやっぱりオーケストラなんで、色々書き方のお作法なんものもあります。
指揮者をよく見る時は「眼鏡マーク」。テンポを落とすところは「波線」。そういうの書いてあるとオケっぽいなぁ、なんて思いますが、実際はそんなことはどうでもよくって自分が分かればどんなことを書いてもいいんです。
まぁ、二人で一枚の楽譜を見る弦楽器の人は自分だけが分かればいい、というわけにはいかないかもしれませんが、管楽器の人間は自分の楽譜は自分しか見ないわけで、その意味では指揮者のスコアと一緒だともいえます。
私は自分でトロンボーンを吹く時は、日本語で文章を書いたりもします。「姿勢を正す」とか「もっと息を吸え」とか「頑張れ」とか。全部本当の話しですよ。信じられないと思った人はやっぱり楽譜の書き方が分かっていない人だと思います(どうです?)。
指揮者が「かまぼこのようにスパッとした音で」と言ったらかまぼこの絵を描けばいいのだし、「ここは焼きそばを混ぜるように」と言ったら焼きそばの絵を描いておけばいいんです。
ドラゴンクエストが好きなら、「ベホイミ(ガンバレの代わりでもいいし、ちょっと抜いて休めの代わりでもいい)」でも「ギラ(コンフォーコの意味だね)」でも「ピオラ(早く)」でもいいんです。
バカっぽいかもしれませんが、用は分かればいいんです。
ダルセーニョの前に「ルーラ」と書いておけば移動することが分かるし、モレンドの代わりに「ラリホー」だっていいんですよ。
こういうのが分からない人は(というかそっちの方が多いと思いますが)、フォルテのところは赤い線を引いておいて、ピアノのところは青い線を引いておく、なんて方法もあります。
何度も書いていますが、楽譜の綺麗な人は絶対に上達しません。ことに合奏においては。楽譜はいっぱい書き込みをして真っ黒にしてください。その分合奏が上手になり、楽しくなること請け合いですよ。

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About NO Masaharu

元々トロンボーン吹きですが、棒振りです。好きな作曲家はベートーヴェン、シューベルト、ブラームス、ブルックナーです。 ビールと餃子とカレーが大好きです。

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