今日は久しぶりに弦練を担当させてもらいました。
私は弦楽器が全く出来ないのですけれども、大人になってから楽器を始めた者として、どういう練習が必要なのかはよくわかっているつもりです。
一番大切なのは、とにかく「スケール」の練習です。12調の長調と12調の短調、できれば短調は3種類あるので、全部やる事が望ましいですが、とにかく最低でもこの24調全部はそらで出来なくてはいけないし、やれば抜群に初見に強くなります。
もう一つ、自分一人でさらう時は「絶対に」メトロノームをかけてさらう事です。メトロノームをかけないで100回練習するよりも、メトロノームをかけて1回練習した方が合奏に強くなります。
この2つの事は大人になってから楽器を初めて、オーケストラに入った私の信念であり、これが上達の最短距離だと確信しています。
今日はせっかくの分奏でしたから、いくつか私の普段やっている練習を皆さんに紹介しました(と言っても別に特別な事ではありません)。
一つは、「後ろからさらう」というものです。大抵の初心者は楽譜の頭からさらいますが、大抵難しい場所は後半にあるものです。
一番最後の1小節をゆっくりさらい、ちゃんと出来れば、最後から2小節間、ちゃんと出来れば最後から3小節間、次は4小節…。こうすれば一番難しい場所を何回も何回もやることになります。
回数をこなすというのは一見効率が悪そうですが、楽器初心者にとっては回数をこなす事は自信に繋がります。1回やるより100回、100回やるより200回とやれば、結果はどうあれ自信を持って演奏できるようになります。
ただし、上に書いたように必ずメトロノームをかけてください。かけずに100回やっても、それは時間の無駄、というものです。
それともう一つ、テンポについてもやってみました。
例えば本番テンポが140=四分音符だとしましょう。早いですね(笑)。
これを練習ではまず70=四分音符から始めます。多分楽勝でしょう。よほど難しい譜面でなければ。
これで曲をさらって、1回も引っかからずに出来れば、次は72にメトロノームのテンポを上げてみます。この辺の遅いテンポの時は2つずつではなく4つでも8つでもいいです。
どちらにしてもちゃんと安心して、確実にできる事が大切です。出来れば、テンポを上げる。例えば98辺りで出来なくなったら、こんどは96へテンポを落とします。そこでちゃんと出来る事を確認したら、またテンポを上げます。
これで最終的に140まで上げるのには相当時間がかかりますが、これを根気よくやる事で絶対に突破口が開けます。
途中、例えば120くらいのところで、テンポを守る事が厳しくなって逆に早くなってしまう部分があるかもしれませんし、ものすごく自分にあった気持ちのいいテンポが見つかるところがあるかもしれません。
前者の場合、絶対にテンポを追い越さないように、テンポをもう一度もどして何回もさらいます。また自分のつぼとも言えるような気持ちのよいテンポが見つかったら、そのテンポでは「絶対にさらわないこと」です。
気持ちのいいテンポがコンサートテンポならばその限りにありませんが、コンサートテンポではない気持ちのいいテンポには何の意味もありません。そのテンポで何回気持ち良く演奏しても、それは自己満足であって、その曲を弾けた事にはなりません。
練習は出来ないからするのであって、それは辛く厳しいものである事を絶対に忘れてはいけません。
そして、間違った練習方法は今すぐにやめましょう。時間の無駄であるばかりか、上達の妨げになり、楽しくありません。
質問があればいつでも受けますので、気軽にお尋ねくださいね。
About NO Masaharu
元々トロンボーン吹きですが、棒振りです。好きな作曲家はベートーヴェン、シューベルト、ブラームス、ブルックナーです。 ビールと餃子とカレーが大好きです。