魂が消えると書いて、魂消る(たまげる)と読みますが、合宿の最終日はどんなに体力がある人でもヘトヘトのクチャクチャで魂はどこかへ飛んで行ってしまい、無表情で楽器を抱えてるだけになるものです。
最終日は「全通し」です。
どうしてこんな過酷な事をするかというと、それはラリー・バードという私の尊敬するバスケットボールプレイヤーの言葉が元になっています。記憶で書くのでかなりアレンジが入っていますが、こんな感じの言葉だったと思います。
「練習はきつくてヘトヘトになるけど、それでもさらに練習をすると段々考える事もしなくなって、身体が自然にシンプルな動きを覚えるんだ」
バスケットボールとオーケストラの練習は一見違うもののように見えるかもしれませんが、どちらも練習の時は肉体を使い、そして出来るようになるまで、細かい反復練習をして、筋肉を通して脳に覚え込ませるという点では全く一緒です。
2日間の総まとめのおさらいとは言っても、殆どの楽員は集中力すら失っていて、今まで間違えなかった繰り返しをいっぱい間違えますし(私だってそうです)、落ちたり、音が出なかったりもいっぱいしますが、それでもこの全通しを乗り越える事により、来週からの練習に自信を持って望めるのです。
この自信が実際に演奏会で最後の馬鹿力を発揮するのだと私は信じています。そしてそれを証明するように今までの4回の演奏会は常に本番が最高の演奏でした。
来年1月9日の演奏会は間違いなく、楽しい演奏会になるでしょう。それはこの過酷な3日間を乗り越えた楽員たちが一番良く分かっていると思います。
About NO Masaharu
元々トロンボーン吹きですが、棒振りです。好きな作曲家はベートーヴェン、シューベルト、ブラームス、ブルックナーです。 ビールと餃子とカレーが大好きです。