話の長い音楽家

12月に入りすっかり寒くなってきました。お風邪など引いておりませんでしょうか。指揮者のひともぢです。

TVのクラシック番組は古くは「オーケストラがやってきた」という名番組があり、今でも続く「題名のない音楽会」があります。オーケストラがやってきた、は山本直純さんが相当に企画に加わっていたであろう、空前絶後のバラエティ感覚で、多分後にも先にもあれくらいのクオリティの番組は出てこないのではないだろうか?と思います。

題名のない音楽会は、出光興産の一社提供で本当に頭が下がるんですが、企画をやっている人が、面白がらせようとこねくり回すのが玉に瑕。この辺は山本直純さんくらいの大局感を持った人ではないと難しいのだろうな、と思います。

NHKでは古くは「N響アワー」が名番組だったのですが、1時間という縛りを勝手に設けて、大曲が演奏できなかったので、発展的解消されてしまいましたね。

私が見ていた頃の司会者は作曲家の芥川也寸志さんが司会者で、芥川也寸志さんといえば「パイプの煙」シリーズが音楽家のエッセイとしては嚆矢であるといまでも確信しています。有名人の本は8割以上がゴーストライターによるものなんですが、芥川也寸志さんは講演も面白くて、一度だけ聞いた講演会ですごく強い印象を受けて、それからパイプの煙シリーズを読みました。

その後の司会者の指揮者の岩城裕之さんも、大変話の面白い方で、さらにその後の司会者の作曲家の池辺晋一郎さんの印象はお若い方にもあるのではないでしょうか?

N響アワーは、その後ららら♪クラシックという番組に引き継がれましたが、そのあとが現在の「クラシックTV」になったわけです。

私は、音楽業界全体に蔓延する、容姿差別には敢然と立ち向かいたいので、そもそも容姿の良い音楽家にはへそ曲がり的に一家言あるので、司会の清塚信也さんなんか、お喋りなだけの男芸者だと思っていました(大変失礼)。

しかし、興味のあるテーマの時にだけ見ていると大変に面白く、すっかり清塚さんのファンになり、最近では必ず録画して見るようになりました。

先週のクラシックTVでは清塚さんのコンサートの様子をやっていましたが、演奏と同じ時間だけ喋ると聞いて、私は即座にさだまさしさんを思い出しました。

私が小学生の時に「精霊流し」「関白宣言」をヒットさせた、さだまさしさんのファンが私の周りには多くて、私があまりに興味を示さないものだから、彼のラジオやFMで流された彼のコンサートの様子などを聞かされました。

さだまさしさんは落研にいたことがあったはずで、とにかく話が面白いんです。さださんのコンサートでは「では曲に行きます」というと「えー!」と声が上がるほどだと聞いたことがあります。

そこで私は気がついたんです。いい音楽家は話が面白くて長いんだな、と。

そして、大きく反省しているんです。

私も話が長いことでは、人後に落ちない自信がありますが、私の場合、話が面白くないから評判が悪いのだな、ということに思いあたったのです。毎週土曜日にやっているインスタライブもいまいち視聴者が伸びないんですが、それもきっとわたしのはなしがつまらないからなんだな、と合点が行きました。

ということで、これからスコアの勉強に使う時間を、落語の勉強に費やそうと思います。

……いや、それはまずいか。

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About NO Masaharu

元々トロンボーン吹きですが、棒振りです。好きな作曲家はベートーヴェン、シューベルト、ブラームス、ブルックナーです。 ビールと餃子とカレーが大好きです。

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