指揮者目線の第十四回定期

指揮者のひともぢです。まずは第十四回定期演奏会にお越しいただいたお客様、ありがとうございました。そしてすみませんでした。

文京シビックで演奏するのは12年ぶりになります。それ以降、客席で聞く機会は10回近くありましたが、いいホールだという印象は全くなかったんですね。

それがリハで音を出して一変。指揮台で聞く音は残業が程よく、オケが一段も二段も上手になったような錯覚を覚えました。

錯覚でしたがw

残響があるので、普段よりもテンポゆっくりでやりたかったのですが、演奏会の尺が延びると困るので、前半は飛ばしました。

そのせいで音が混じってしまい、オケの音が濁って困ったなぁと思っていたところ、二曲目で、普段間違わない人が、一小節早く吹き出して、フーガ状態に。

感情というのは伝染するので、それをきっかけにオケがパニックになり、あちこち事故だらけの演奏になっちゃいました。

本当は指揮者がキチンと交通整理をしなくちゃいけないんですが、気持ちの切り替えみたいなことをする力が私になかったんですね。

私自身、その「悲劇的序曲」では三小節早く振り終わってしまう始末。

そのままズルズルやってしまい、前半は何とか乗り切れたんですが、後半二曲目のくるみ割り人形の小序曲で完全に崩壊しちゃいました。

チェロとコントラバスがタチェット(全部お休み)のシンプルな編成であるが故に混迷は深く、ずっとズレっぱなし。指揮を見てくれれば救いはあったのですが、パニックになった奏者は楽譜に目が釘付けで、ここはどこ?私は誰?状態でした。

結局、その動揺は最後まで続いてしまいました。これは偏に指揮者のせいです。

それしにしても、こんなに不出来な演奏会は初めで、来ていただいたお客様には本当に申し訳ないと思っています。

ただ、これだけは分かってください。我々は我々なりに一生懸命練習しました。ふざけてやっているわけではありません。

「練習は嘘をつかない」と私はよく言います。確かに嘘はつきませんが、演奏会には魔物が住んでいるのも事実で、こんなこともあるとは分かっていました。

「指揮者とコンドームはないと楽しいけど、あると安心」とも言われます。私はその安心を楽員に与えなくてはいけないのに、それが出来なかった私が不出来な指揮者だったのです。

いま猛烈に反省していますが、立ち止まることはできません。早速今週土曜日から次の演奏会に向けての練習が始まります。

文京フィルは仲間と練習する楽団です。だから上手なエキストラを呼びません。そのことだけは自慢に思っています。

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About NO Masaharu

元々トロンボーン吹きですが、棒振りです。好きな作曲家はベートーヴェン、シューベルト、ブラームス、ブルックナーです。 ビールと餃子とカレーが大好きです。

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