伝統と形式

NHKで歌舞伎の初芝居を見ました。私は松竹で働いていたくせに歌舞伎を生で見たことがないんです。しかし元々映画やお芝居は好きですし、日本の伝統芸能にも興味があるので、歌舞伎、文楽、能、狂言なんかもチャンスがあれば見たいと思っています。
同様に落語なんかもこれは必須の教養科目だと思っています。
これらの共通点はやはり伝統と形式だと思うんですね。今日の演目では私でさえ知っている「勧進帳」をやっていました。もう300年くらいやられているお芝居ですが、演じている役者も何回もやっているし、目の肥えた贔屓筋も何回も見ているわけです。
しかし、それはライブ感覚とお約束に基づいて、毎回毎回の演目を楽しむわけですし、役者の方もさも「初めて」という感じで演じるからこそ、楽しめるわけですね。
私はこれはクラシック音楽でも同様だと思います。どんなに聞き飽きた曲でも、演奏し飽きた曲でも、演奏会の時は「最初で最後」の一期一会の気持ちでもって演奏しないといけないと思うんです。
「ああ、ベト7ね、10回くらいやったかな」と鼻を鳴らしながら自慢気に語る人がいたとしたらその人は単に回数を重ねることが好きなラジオ体操のスタンプ集めに興じる小学生と変わらない人なんだと思います。
同じ曲でも、毎回違う風に感じる「感受性」を是非忘れないで欲しいと思います。プロならばけろっとして「初めて」を演じるわけで、我々はアマチュアですが楽譜との一期一会、演奏会との一期一会を楽しんで欲しいと思います。
因みに形式ということで言いますと、私は繰り返しは全部やります。例えば7番でいうと1楽章と4楽章に長い繰り返しがありますが、これは「ソナタ形式」という立派な西洋音楽の形式なんです。
提示部は繰り返す。これがソナタ形式ですよね(違っていたらご指摘を、勉強です故)?であれば、私はそれを「省略する」という横着な演奏をすることはしません。
歌舞伎でも落語でも勝手に筋を変えることはしないですよね?それと同じで「形式」という伝統を私も守りたいと思います。

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About NO Masaharu

元々トロンボーン吹きですが、棒振りです。好きな作曲家はベートーヴェン、シューベルト、ブラームス、ブルックナーです。 ビールと餃子とカレーが大好きです。

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