第9回定期演奏会

指揮者のひともぢ28号でございます。
うちの楽団の演奏会も今回で9回目。クラシックコンサート、クラシックコンサート、色物コンサートと2年に3回の演奏会を行って来ました。
今回は諸処事情がありまして、演奏会のプログラムを変更して、ドボルジャークの交響曲9番「新世界より」をメインに据えたクラシックの王道と言うか、どの曲も非常に聴き馴染みのある、お客さんに喜ばれるようなプログラムになりました。
演奏会のプログラムというのは非常に悩むところで、色物コンサートの時は殆ど指揮者が選ぶのですが、通常のコンサートはメインの曲は評議会で決められます。時にマニアックになったり、自己満足になったりしてしまうのですが、私は常に、楽員の満足度と同時に、お客さんが聴きたい曲を選曲するよう意識しています。
この点、アマチュアの楽団はお客さんという視点が少し足りないように感じます。まずは自分が演奏したい曲。でもねぇ、アマチュアのプロほどは上手でない演奏で自己満足の選曲をされても、そんなもの聞きたいと思わないと、私などは思う方なので、逆にうちの定期演奏会はお客さんのことを意識した選曲をしています。
因に余談ですが、楽団内でアンサンブルとかやる時も、まず自分の演奏したい曲を選曲する傾向が、特に初心者に多いと思っています。例えば弦楽器の人ならアンサンブルと言えば「アイネ クライネ ナハト ムジーク」をやりたがるんですが、これは弾いている方は楽しくても、聞いている方は全然楽しくないんですね。凄く有名な曲だから、ちょっとの間違いでもアララとなるんです。しかも大抵音程悪いから背中がかゆくなること請け合いです。
演奏会も同様で、自己満足でいいなら、会場を借りてクローズで身内だけで演奏やっても同じなんです。でもオープンにして、我々のことを全く知らない人が来てくれる、聞いて感想を書いてくれる。これが「音楽」なのだと思うのです。
さて、だから今まで避けて来たような曲に今回挑戦しました。
カルメンの第1組曲は管楽器のソロに取ってチャレンジングな曲でした。もうそこだけちゃんとしておけば、指揮者は何にもすることがないのがこの曲の特徴です。本当はもう少しタメとかリズムとかをスペイン風にやりたかったのですが、それよりもソロが無事に通り抜けてくれることを祈るような気持ちで指揮していました。
管楽器のソロよかったですが、表現の幅が小さかったのと、音量が小さかったですね。これは逆の視点から言えば弦楽器の音が多いんですね。人数が多くてももっともっと小さな音を出さないとうちの楽団の演奏はよくなっていかないと感じています。
モーツアルトの25番はいままで当楽団に取って鬼門だったモーツアルトをようやく克服できた演奏でした。本来の25番のもつ疾風怒濤感はテンポとしては出せませんでした(あんな遅い25番聞いたらモーツアルトに叱られますね)。しかし、ドイツ・オーストリアの正統的なクラシック音楽という意味ではモーツアルトらしさに少しだけ光がさしたと思っています(うちの楽団にしては、ですが)。
私自身モーツアルトに苦手意識があったのですが、何となく仮免許を取れたような気がします。
メインのドボルジャークの新世界よりは、実は私のオーケストラデビュー曲で4楽章だけでしたが、1stトロンボーンを吹いて初めてオーケストラで演奏した思い出の曲です。
超がつくほどの有名曲ですが、私はとにかくどんな場合にも楽譜に忠実に、お作法があって作曲者が書かなかったとしたら、それを何故書かなかったのか、考えてから演奏するようにしています。
例えばこの9番は1楽章静かに始まり、ホルンのffの強奏のあと、3拍をつまんでいる演奏が多いです。その後の弦と管の強奏の後は、殆どの演奏でテンポが上がります。何故上がるんでしょう?私の尊敬するクーベリックも、凄い好演を残しているアンチェルももの凄くテンポが上がります。でもそんなこと楽譜には書いていません。
私は楽譜に書いてある通り、拍を守り、テンポを守りました。結論として、私は自分の演奏が正しいと今でも思っています(チェコの音楽を知らないからかもしれませんが)。
この新世界よりは、トータルで私の思う通りのいい演奏が出来たと思います。油断したもんだから4楽章の最後でバラバラになりかけて冷や汗をかきましたが、どの楽章も個性的ないい演奏が出来たと思います。今後人数が増えて、もっともっと練習して音程がもっとよくなると演奏が楽しくなるでしょうね。
さて、私は今回全部の曲を暗譜で振りました。暗譜が大変だという自慢話をしたい訳ではなく、暗譜をすることで音楽を楽しめるというのが、再認識できました。暗譜していれば当然、視線は常に奏者にあります。いつもよりも視野が広く、オーケストラ全体をコントロールすることが出来ました(楽員はなかなかこちらを見てくれませんが)。
指揮者としてはまだまだ反省点の方が多く、これからの課題もはっきり見えて来た演奏でしたが、今までのように演奏前に運営のことで患わされることもなく(この点は楽員とスタッフに感謝)音楽に集中できました。
また、680名の来場者はうちの楽団の新記録です。冒頭にも書いたように、うちの楽団は楽員だけが自己満足で音楽をすることは目指していません。定期演奏会に足を運んでくれる、多くのお客様があっての文京フィルハーモニック管弦楽だと思っています。
今後、楽員が音楽に集中できるように、来てくれたお客様にもっともっと喜んでもらえるように、色々考えて行こうと思っています。
来てくれたお客様、本当にありがとうございました。ぜひ再びのご来場を楽員一同心よりお待ちしています。
スタッフの皆さん、本当にありがとうございました。皆さんのおかげでこんなに大きな演奏会が、無事故で(私が知る限り)行えました。
そして楽員の皆さん。演奏ははっきり言って下手くそです。でも一生懸命練習した結果は出せたと思います。音楽に終わりはありません。また、1からコツコツと仲間たちと音楽を作っていく作業を楽しみましょう。

Radixの会総会依頼演奏

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ども、ひともぢ28号です。昨日は私が勤める会社の持っている生産者団体Radixの会の総会の懇親会で文京フィルハーモニック管弦楽団として演奏して来ました。
Radixの会というのは生産者や加工メーカーさんが集まって、栽培技術や加工技術の向上や衛生管理の講習など、日本の食文化をどうしようか考えたり、横の繋がりを作っていく会なんです。昨日の会では震災の事や、放射性物質の問題、そしてTPP参加の是非など、緊急でなおかつ意見の分かれる問題がテーマだったせいで、会は20分押し、しかも怒鳴り合い寸前の白熱した討論だったようで、参加された人達も頭から湯気が出ていた人が相当いたそうです。
そんな中で懇親会が始まり、景気よくビゼー作曲カルメンを演奏しました。オープニングナンバーのド迫力でノックアウト作戦が、これが会場のグランドパレスホテルのダイヤモンドルームという、ちょっと古い人ならプロ野球のドラフト会議が行われていた会場で、天井が低く、しかも絨毯張り、さらにお客さんが500人近く入っているという条件で、音が全部吸収されてしまい、全く聞こえないというハプニングでした。
こういう時に聞こえるのはトランペットとトロンボーンなんですが、結局チェロのソロによる、ビートルズのミッシェルは全く聞こえない。モーツアルトの交響曲25番のオーボエも全く聞こえない。馬力のあるクラリネット2人で思いっきりフォルテシモで吹いて、ようやくなんとか、という感じでした。
途中でトランペットパート内で「吹け」という指示が出たようですが、そういう臨機応変さや現場対応というのは社会人オーケストラならではだと思います。逆にそれに気がつかないとちょっと致命的。
途中の2曲は随分苦労しましたが、最後のエルガーの威風堂々は大好評で、震災で全財産を失った陸前高田の八木澤醤油の河野会長は終演後涙を浮かべて「勇気をもらったよ」と言ってくれました。
楽員の皆さんはどう思ったか分かりませんが、私は実は以前から、こうやって飲み食いする場で演奏したかったんです。理想的にはレストランで着席してもらえるとよかったんですが、食事、お酒、音楽の3つって親和性が高いと思うんです。
ちょっと気の利くコンサートだと、ロビーでシャンパンを振る舞ったりしていますが、多少お酒飲んでリラックスしながらクラシック音楽聞いてもらいたいんだよなぁ、と思っていたんです。
立食のパーティーで後ろの方はおしゃべりをしていたようですが、それでも音楽は耳に入っていたはず。それが大切なんだと私は思っています。
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とにかく、いい経験になりましたし。楽しかったです。なによりも楽員は八木澤さんのお醤油とポン酢に目がハートになっていたようで、お気に入りであれば、是非らでぃっしゅぼーやの会員になってください(笑)。
また、どこかで呼んでもらえるような楽団になるといいですね。

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元々トロンボーン吹きですが、棒振りです。好きな作曲家はベートーヴェン、シューベルト、ブラームス、ブルックナーです。 ビールと餃子とカレーが大好きです。

個人的な反省

昨日の演奏会が終わってから、あれほど苦手でイヤだった、「ピーターと狼」や「青少年のための管弦楽入門」が頭の中でグルグル鳴っています。演奏に完璧がないのは当たり前で、やり残した事や、やり直したい事があるのは普通の事だと思います。
そして同時に「やり直したい」という思いも、時間が経てばムクムクとわいてくるものだと思います。今回は振り間違う事はありませんでしたが、やはり指揮者としてオーケストラを牽引するというよりは、交通整理に徹してしまい、その整理も上手く行かなかったのがどうしても悔やまれます。
スコアを見ながら思い起こして、この思いを次ぎに生かして行こうと思っています。
また、室内楽の時は、司会はお手の物で、全部アドリブだった割には、話に破綻がなく、上手くつなげたと思いますが、やはり6年振りに人前で吹いたトロンボーンが酷過ぎました。それなりに練習を積んでは来ましたが、はっきり言えば、人前で吹くレベルではありませんでした。
通常なら、それでも「合奏は楽しい!」となるのですが、残念ながら、今回は楽しむ余裕すらありませんでした。
私は勿論指揮を続けて行きますが、トロンボーンの演奏の楽しさを忘れたわけではありません。今後少しでも復活して、トロンボーンを吹く機会を増やして行こうと思います。せっかく下手くそではあっても、楽器を持っていて吹けるのですから。
因に、運営上の反省はいっぱいあるのですが、ちょっと生臭い話になるので、楽員だけに伝える事にしますね(ニヤリ)。

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よい子のための演奏会

うちの楽団は2年に3回演奏会を行っていますが、その3回のうち1回は企画ものの演奏会をやる事にしています。第3回定期の時はクリスマス時期だったので、クリスマスの定番、バレエ曲のクルミ割り人形をメインに、映画音楽をやりました。ナレーション付きで華やかでリラックスした雰囲気の演奏会になりました。
第5回定期の時はウィーンフィルを向こうに張って、ワルツとポルカばかりのニューイヤーコンサートをやりました。下手くそな演奏でも、新年らしい演奏会でした。
今回は「子供のための演奏会」と題してお送りしました。普通のクラシックコンサートは小学生以下は断られる事が多いです。騒いだり、泣いたりして演奏の妨げになるからです。でも、本来ならそういう小さな子供にこそ、情操教育という訳ではないですが、本物のオーケストラの音を聞かせてあげるべきだと思うのです。
そういう思いで今回は3曲プログラムしましたが、子供向けだと思って甘く見ていたのが、大失敗。どの曲ももの凄く難しくて、この1年間、初心者主体のうちのオーケストラはそれこそ七転八倒しながら練習を進めて来ました。
思いは届き、今回は多くのお子様にお越しいただきました。普段の演奏会では絶対にあり得ない、演奏中に子供が泣くは、騒ぐは、歩くは、喋るは(笑)。でもいいんです。少しでもオーケストラの雰囲気を感じてくれればそれでいいんです。
そして、その子達が、もし20年後に文京フィルに入ってくれたら、これに勝る喜びはありません。アマチュアオーケストラの運営をしていると、どうしても目の前の事にとらわれがちですが、うちの楽団は森を作るように、木を植えて行くように活動していこうと思っています。
さて、子供の演奏会で夜に随分時間が余ったので、室内楽の演奏会もくっつけちゃいました。室内楽の演奏会も、私が楽団を立ち上げた時からやりたかった企画です。オーケストラの基本は室内楽です。例えば弦楽四重奏。これがオーケストラの弦楽器の基本なんです。
だから、室内楽をやる事は、オーケストラのスキルアップには必須なんです。それをお客さんにも楽しんでもらって、演奏者としての経験値を積むにはどうするか?1年間悩んできました。何しろ長丁場ですので、結局昼よりはお客さんは4分の1くらいになっちゃいましたが、それでも最後まで熱心に聴いてもらえたと思います。
今度はもっと小さいホールで室内楽の演奏会をやりましょう。
この1年は震災もあり、色々大変でしたが、楽団にとっては貴重な経験をいっぱい積んだ1年で、演奏会からこれほど得るものが多かったのも、今までにはない経験でした。
文京フィルは今年6年目を迎えますが、楽団としてまた一皮むけたような気がします。相変わらず演奏は下手くそですが、「出来ない事を楽しもう」をテーマに頑張って行こうと思っています。

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文吹の演奏会

今日は姉妹楽団の文京区交響吹奏楽団の演奏会でした。
文吹とうちはお互いの演奏会の時にスタッフとして助け合います。こういう関係の楽団があるというのは本当に心強いし、また楽しくもあります。そのうちジョイント演奏会を開こうね、なんて話をしています。
文吹は吹奏楽、うちは管弦楽。音楽の形態は違いますが、その目指すところは非常に似ています。
学生の時に音楽をやっていたけど、社会人になり忙しくなりすっかりご無沙汰。こういうブランクのある方は意外に多いものです。私の会社でも、話をすると、学生の時に楽器をやっていたという人は驚くほどいっぱいいます。
こういう人が、ちょっと気が向いて音楽に戻ろうと思っても、技術は学生のときより落ちているので、なかなか重い腰が上がりません。また楽団の側でも、コンクールを目指していたり、オーディションがあったりで、やっぱり技術的な壁があったりします。
こういう状態ですから、大人になってから楽器を始めた人達が、大勢で合奏する場というのはそれほど多くはないんです。
文吹もうちも、ブランクのある人大歓迎。大人になってから楽器を始めた人大歓迎。下手くそでも一生懸命練習する人達と一緒に演奏を作って行こうと思っています。
私たちもオーケストラをやっていると、上手になりたい向上心と、みんなの楽器のレベルとの間でジレンマに陥る事があります。また結局技術偏重に進んでしまっていると、ハッと気がつく事も度々です。
しかし、私たちは文吹の演奏会に参加する度に、目指すべき方向を改めて指し示してもらえます。文吹の方が1年歴史が古いのは伊達ではありません。
文吹は徹底して、楽員、お客さんが楽しむ事を目指しています。まさにエンターティナーです。決して凄く上手な演奏ではありませんが、何故か毎回凄く楽しく、幸せな気分にさせてくれます。
今日もそういう演奏でした。
我々の演奏会まであと3ヶ月。頑張りましょうね。

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演奏会の考え方

当楽団が考える演奏会は、なるべくクラシック音楽の敷居を低くしよう、というものです。
無料の演奏会なのも、なるべく気軽にお越し頂けるようにということですし、小さなお子様にもご入場いただいているのは、小さい頃からクラシック音楽に触れることで、クラシック音楽の裾野が広がるからだ、と考えているからです。
毎回、演奏会の度に「子供の入場は断るべきだ」ということをアンケートに書かれる方がいらっしゃいます。仰ることは分かりますが、この演奏会は無料で誰でも入れますと主催者である当楽団が決めている以上、何万回お書きいただいても、無駄です(笑)。
お金を頂いていないからといって、お客様ではない、というつもりはありません。精一杯の演奏で可能な限りのおもてなしをしようとは思っています。
しかし、これは楽団の「理念」です。そこを他の方からのありがたい言葉で変えることは絶対にありません。ブログですので冷たく聞こえるかもしれませんが、子供が気になる方は、当楽団の演奏会にお越し頂かない方がお互い時間の無駄がないと思います。
また、プログラム(パンフレット)がふざけている、というご指摘もたまに受けます。ふざけてなんかおりません(笑)。ごくごく真剣です。
ただ、前述の通りクラシック音楽をなるべく敷居が低くリラックスして聞いてもらいたいという強い思いはあります。
クラシック音楽だからしかつめらしく解説して、背中を伸ばして聞くというのは、プロの演奏会でご堪能ください。
我々は音楽の草野球、大人の部活動を標榜して活動して来ました。ちょっと(かなりかもしれませんが)柔らかいトーンのパンフレットは来て頂いた方に、リラックスしてもらう為の、当楽団のおもてなしの気持ちです。
世の中には色んな考え方があると思います。多様性を認めることこそオーケストラを楽しむ最高のスタンスだと思いますが、この考え方は間違っていますか?

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演奏会感謝

昨日無事に?演奏会が終了しました。
まずは、622名というこの楽団設立以来最高のお客さんに恵まれたことに感謝するとともに、演奏会を裏から支えてくれたスタッフの皆様、この1年間一緒に練習を頑張って来た仲間に、まずはお疲れさまですと伝えたいと思います。
万全の打ち合わせをしていたつもりでしたが、開場前の整理券配布で躓いてしまいました。並ばないように誘導するということで徹底していたのですが、気がついた時には列が出来ていて、本当はそこから散開して頂くはずだったのですが、手違いで列が出来てしまいました。
この点では、ホールに多大な迷惑をかけてしまいましたが、幸いなことに来年5月も同じホールを使わせて頂くことになっていて、必ず今度はきれいに開場して捲土重来を期したいと思います。
演奏としては、まずは世界初演の「旅路」。出だしのトランペットのとちりはあったものの、演奏としてはきっちりとしたテンポが出せて、弦と管のバランスもよく、私としてはまずは合格点を楽員にあげたいと思います。
実は、私が1カ所振り間違って、フルートとオーボエは目を白黒したことと思いますが、言い訳ではなくて開場前のトラブルが気になって、演奏に身が入らなかったのが昨日の私でした。
中プロのモーツアルトの「ピアノコンチェルト20番」ですが、抑えめのテンポでスタートして、ピアノによく付けられたと思います。勿論一般的にはまだまだなのだとは思いますが、うちの楽団のレベルで言えば実力以上の演奏が出来たと思います。
残念ながら、ここでも私が1楽章のカデンツァ開けを振りしくじってしまいました。本当にすいません。
メインのチャイコフスキーの「5番」では、なんと1回目の演奏会以来のブラボーを頂きました。
前半をゆっくり、後半を速くという設計だったのですが、2楽章は思ったより速くなったし、結局3楽章と4楽章もゆっくりじっくり行くことにしました。
演奏としては、しっかりアンサンブル出来たし、まとまりのあるいい演奏だと思います。
基本的な実力不足は事実ですし、他と比して上手だというつもりはありませんが、初心者が多くを占めるこの楽団としては、実力以上の素晴らしい演奏だったと6回目の演奏会にして、初めて思いました。
いろいろと不手際や、足りないことはありますが、アマチュアの演奏ですから、それは次への課題ということで、今後の成長に期待して頂きたいと思います。

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今回の演奏会の見所

ブログの更新久しぶりになっちゃいました。すいません。こんな感じなんで見捨てずにいてやってください。
さて、演奏会まであと2ヶ月というところまで来ました。
オーケストラをやっていない人にとっては随分先のような感覚があるかもしれませんが、社会人のオーケストラで週に1回しか練習が出来ない、という状況の中では2ヶ月というのはあっという間で、単純計算してもあと8回しか練習が出来ないんです。
8回と言っても、その8回毎回全員揃う訳ではないので、練習の効率としては悪いのですが、結局は質を量で補うことになるのが初心者主体の社会人のアマチュアオーケストラの実情なのだと思います。
さて、今回の演奏会も入場無料です。お友達や親戚などにお声がけいただき、カザルスホールを満席にした文京フィルハーモニックオーケストラの「熱気」を是非お楽しみいただきたいと思います(決して技術的な期待はしないでください(笑))。
今回は意欲的な(読み替えると無謀な)プログラムです。
前プロは小田倉光司さんというアマチュア作曲家の世界初演曲に挑みます。
アマチュアオーケストラの楽員のほとんどは楽譜を読むのが苦手で、なんだかんだ言ってCDを聞いて曲を覚えちゃいます。しかし、この曲は世界初演。勿論音源なんか(厳密に言えばあるんですが)ないわけです。
楽譜を見ても曲が分からない…。……大丈夫だろうか?
何回か練習をしてみて、どうしても出来ないところは作曲の先生にお願いして、直してもらっちゃいました(爆)。こういうところが作曲者存命の曲をやる楽しみですね。
どんなに文句を言いたくても、モーツアルトやベートーヴェンには言えませんからね。
中プロはモーツアルトのピアノコンチェルト20番です。ソリストは桐朋学園の大学院を卒業された才媛で私らみたいなアマチュアオーケストラが共演して頂くなんて恐れ多い方なのですが、偶然にも競演のチャンスを頂きました。
モーツアルトと言えば文京フィルにとっては鬼門の作曲家です。第1回定期のヴァイオリンとヴィオラのコンチェルタンテ…。ガチガチでソリストたちに全く付けられず、撃沈。
第2回定期は皇帝ティートの慈悲…。休符やシンコペーションが苦手でモーツアルト作曲というよりは、ベートーヴェン作曲みたいな感じでした。
第5回定期ではコンサートマスターの急遽交替ということで交響曲25番の演奏自体の取りやめ。
しかし、今回は敢えての鬼門挑戦です。どんな仕上がりになるか、是非お楽しみください。
今日はここまでで、メインについてはまた日を改めますね。

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離見の見

皆さんは「離見の見」という言葉を知っていますか?
室町時代初期の猿楽師である世阿弥という人が、能の舞台について書いた「花鏡」という本に書いた言葉なんですが、
『観客の見る役者の演技は、離見(客観的に見られた自分の姿)である。「離見の見」、すなわち離見を自分自身で見ることが必要であり、自分の見る目が観客の見る目と一致することが重要である』
1400年頃の人ですから、いまから600年以上も前の人が、こんなことを言っていたんですね。
そして、これって現代にも十分通じる話だし、アマチュアである私たちもステージに上がる以上、絶対に覚えておいて損のない言葉だと思います。
音楽をやるには音楽だけ知っていても駄目なんです。当たり前の話なんですが、たまには、こういう本を読んでみてもいいと思いませんか?

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謝罪でも、まぁ、いいか(笑)

文京フィルハーモニック管弦楽団の5回目の定期演奏会はニューイヤーコンサートという事で、都内屈指の名ホール、日本大学カザルスホールで行われました。
ヨハン・シュトラウスの曲を徹底的にフィーチャーして、有名どころをずらりと取り揃えた楽しいプログラムでした。
まずは、謝罪から。
当楽団の手際が悪くて、多くのお客様に不愉快な思いをさせてしまいました。前回の演奏会も、その前の演奏会も300人台の入場者でしたので、500席あるカザルスホールが満員になる事は想定外でした。
ホールのご好意でロビーなどで見られた方には本当にご迷惑をおかけしました。また、せっかくお越し頂いたのに、満員で入場できなかった多くのお客さん、重ねてお詫び申し上げます。
これもすべては楽団の代表である、私の至らなさ故です。楽員やスタッフは一生懸命頑張りましたので、どうかこの私に免じて許してやってください。
続きまして、演奏内容についても謝罪させてください。
本当に申し訳ありませんでした。いつにも増してひどい演奏でした。縦が揃わない、音程が悪いなどは毎度の事ですが、指揮者は振り間違うは、楽員は飛び出すは、繰り返し間違うは、こんなにとっちらかった演奏をお聴かせして本当にすまなく思っています。
とはいえね、楽員は楽しんで演奏してくれていたようですし、ご来場いただいたお客様のアンケートを読む限り、うちの楽団の事をご理解しているらしく、激怒しているお客様も思ったほどいなかったようで、おおむね楽しかった、と言っていただけました。
私は予々、うちの楽団は技術を追求する楽団ではない、と言って来ました。勿論技術は大切ですし、それを抜きにして音楽は出来ません。しかし技術よりも何よりも先に、「楽しむ」という事があるべきです。
楽しみの先に技術があるなら、楽しみを通じて技術を追求すべきだし、楽しみがあるから、辛い練習も出来るのだと思っています。
その意味では、こんなにひどい音楽をやったとしても、「楽しければいいじゃん」というのはある意味真理だと思います。私はそれで良かったんだ、と思っています。
尤も、指揮者としては非常に不満の残る演奏会で、来週からの練習ではちょっとは厳しくしないとなぁ、と思ったのは事実。
演奏会も、楽団もすべては私の思う通りにはなりません(指揮者として音楽だけは思う通りにしようと思っていますが)。
やっぱり生ものなんだな、と強く感じました。
そして、最後にもう一度書いておきます。
来ていただいた多くのお客様に本当に感謝いたします。そしてこれに懲りずにまた9月の演奏会に是非足をお運びください。
よろしくお願いいたします。

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