指揮者による指揮者の見方

N響アワーでツァグロゼクの演奏を聴きました。この人は見るのも聴くのも初めてなのですが、初めての指揮者を見る時に指揮者ってどこを見るか分かりますか?
人にもよると思うんですが、私はやっぱりまず、指揮法がちゃんと出来ているか?を見ちゃうんです。その点では純粋に「この人の音楽はどう?」というのが最初に来ないんです。
指揮法ってまずは演奏前のアウフタクトの出し方、テンポの変わり目、ザッツの出し方、この辺だと多分指揮をしたことがない人でも、というか、普通に演奏者ならば見れば上手い指揮者か、下手な指揮者か分かると思うんです。
でも、更にもう一カ所、飲む席で話題すればみんなに感心されること間違いなし!のポイントをお教えしましょう。
それは「指揮者が何もしなくていいところをどう振っているか?」なんです。
指揮者というのは常に必要なものではないんです。極論すれば、始めと終わりだけいればあとは優秀なコンマスが何とかしてくれるもんなんです。まぁ、フォルテだのピアノだののデュナーミクの指示、上でも書いたようにザッツや出番を教えたりすればやることは増えるんですが、それでも「なんにもしなくていいところ」というのが実は「いっぱい」あるんです。
そこをどう振るか、で私は指揮者の技量が分かると思っています。
馬鹿正直にテンポを出している人、なんかとにかく動き出す人、そしてきちんと省エネの指揮が出来る人。勿論そういうところでも曲想を伝えることは必ずあるし、第一楽譜には無駄な音はないので指揮がやることはあるといえばあるんです。
ただ、全部指揮者が完全にハンドリングしたオケなんて大したもんじゃないですよ。逆に指揮者が頼りないからオケが頑張った、という方がいい演奏が出来るという例は枚挙に暇がないくらいです。
因みに何度も書きますが、私は指揮者はベートーヴェンが振れないと評価しませんので、今日の指揮者の評価は後日にとっておきます。

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About NO Masaharu

元々トロンボーン吹きですが、棒振りです。好きな作曲家はベートーヴェン、シューベルト、ブラームス、ブルックナーです。 ビールと餃子とカレーが大好きです。

“指揮者による指揮者の見方” への1件の返信

  1. PASS:
    ウィーンフィルは 放送を途中から聞いてもそれとわかる 特別な音色だと思っています
    カラヤンが指揮したウィーンフィルは別です
    彼は ウィーンフィルをも完全にハンドリングして止まない 帝王だったのでしょう
    なんとなくスカッとして 爽快な気分にさせられますが オーケストラの音色を作り換えてしまっています
    だから 私はカラヤン嫌いです
    その対極にあったと考えられる ベームが好きです
    常に そのオーケストラの良さを最大限に引き出した 名指揮者だと思います

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